「これ、いくらになりますか?」
買取店では、毎日のように交わされる言葉です。
でも私は、お客様がお品物を出されたからといって、いきなり査定には入りません。
まずは、ちょっとした会話を大切にしているから。
なぜなら、同じ品物を売るにしても、手放す理由は人それぞれだからです。
例えば、
「新しいバッグを買う足しにしたくて」
「家を片付けて、旅行に行こうと思って」
そんな前向きな理由もあれば、
「就職活動の新幹線代に充てたくて」
「家族の介護費用が必要で」
「少しでも生活費の足しにしたくて」
という、切実な事情をお話しくださる方もいらっしゃいます。
もちろん、無理に事情をお聞きすることはありません。
ただ、お話しくださったからこそ、私たちにできることが見えてくる場合もあるんです。
査定額は、簡単に上げられるものではない
買取店も商売です。
お品物を買い取ったあと、販売することで利益を得ています。
そのため、どれだけお客様の事情を理解していても、利益を考えずに査定額を上げることはできません。
査定額は、中古市場での相場や商品の状態、需要などをもとに、ある程度決まっています。
でも、査定するスタッフも人間です。
お客様のお話を伺うことで、
「何とか、もう少し頑張れないかな」
そんな気持ちになることもあります。
バイヤーへの交渉にも、力が入る
買取店によって査定の仕組みは異なりますが、外部のバイヤーと取引しているお店もあります。
そのようなお店では、お客様に代わって、スタッフがバイヤーに価格交渉します。
もちろん、必ず査定額が上がるわけではありません。
それでも、お客様の事情や想いを知っていると、少しでも良い条件を引き出せないかと、交渉にも自然と力が入るもの。
ほんの少しの査定額アップが、信頼につながった話
以前、あるお客様のお話を伺い、何とか査定額を上げられないかと考えたことがありました。
結果として、上げられたのは本当に気持ち程度の金額。
大幅な査定額アップとはいきませんでした。
それでも、お客様はその気持ちを汲んでくださったのでしょう。
その後も、何かあるたびにご来店くださるようになったんです。
私にとって、とても嬉しい出来事でした。
私が目指しているのは、最高額だけではありません
もちろん、お客様にとって査定額は大切です。
1円でも高く売りたいと思うのは、当然のこと。
でも、私が目指しているのは、単にその日の買取を成立させることではありません。
そう思っていただけること。
それが、私にとってのゴールです。
だからこそ、査定の前の何気ない会話も、大切にしています。
買取店は、品物の価値を査定する場所。
でも、その品物の向こうには、お客様それぞれの事情や想いがあります。
私は、そんな気持ちにも寄り添える査定員でありたい。
これが、現役買取店スタッフとしての私の本音です。

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